肛門科

肛門科

肛門に関係する疾患を中心に診療

肛門に関係する疾患を中心に診療

肛門科では、肛門に関係する疾患を中心に診療します。おしりに関する症状は、場所が場所なだけに相談しにくいうえ、とくに女性はひとりで悩んでいる方も少なくないと思われます。肛門の疾患は、直腸がんや肛門がんなど、重篤な病気が潜んでいることもありますので、決して恥ずかしがらずに、勇気を出して相談にいらしてください。

当診療科目では、痔をはじめとする肛門および周囲の痛みやかゆみ、出血、不快感などの治療をはじめ、予防法に関しても詳しく説明いたします。

主な対象疾患について

痔核(イボ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)などの肛門に関係する疾患を診療します。主な疾患の症状としては出血、痛み、肛門の痒み、残便感などがあります。

肛門科で診療する代表的な疾患

痔核(イボ痔)

痔のなかで最も多いのが痔核、いわゆるイボ痔です。痔核とは、肛門付近の血流が悪くなって鬱血を来たし、さらに静脈がこぶ状に膨らんだものです。

症状は排便時に出血したり、肛門の周りにイボのようなものができたりします。発生する場所により、内痔核と外痔核に分けられます。

内痔核は、肛門の歯状線(直腸と肛門の境)より内側に生じた痔核を言います。この症状は、痛みをほとんど感じること無く進行(初期は出血する程度)していきます。なお、進行段階は4つの度数で分類されることがあります。進行して痔核が大きくなると、脱出(脱肛)するようになります。脱出も初めのうちは指で押し込めば戻りますが、進行すると戻らなくなり、痛みを伴うこともあります。治療に関しては、保存的治療として薬物療法をはじめ、食物繊維の摂取や脂肪食を摂らないといった生活習慣の改善などを行います。

外痔核は、肛門の歯状線の外に生じた痔核です。激しい運動をしたり、急に重いものを持ったりした後などに突然血の塊が肛門に生じ、腫れて痛みます。薬による治療がほとんどですが、大きくて痛みが強いものは切除するか、血の塊を取り除く、外科的治療の必要があります。

裂肛(急性・慢性)

便秘や下痢で肛門上皮が切れ、痛みや出血を伴います。急性裂肛と慢性裂肛があります。急性裂肛は、傷は浅く、排便時に痛みや出血を伴いますが、ほとんどは数日で回復します。

もうひとつの慢性裂肛は、裂肛を繰り返すことで傷が深くなり、潰瘍になる状態をいいます。痛みも持続し、傷の内側に肛門ポリープ、外側にイボを形成することがあります。

治療法としては、かゆみ止めや痛み止めの軟膏を用いるほか、便のかたさを調整する整腸剤を服用することもあります。なお、慢性裂肛の場合は手術をする必要があります。

痔瘻(じろう)

痔瘻は直腸肛門周囲膿瘍(直腸肛門部とその周辺の皮下、粘膜下、筋間などに膿の溜まりができたものの総称)が自潰(はぜること)したり切開排膿されたりして瘻管(トンネルのようなもの)ができた症状を言います。痔瘻には皮下痔瘻(1型)、筋間痔瘻(2型)、坐骨直腸窩痔瘻(3型)、骨盤直腸窩痔瘻(4型)の大きく分けて4タイプがあり、それぞれがさらに細分化されています。治療法としては、入院して手術療法を行うのが一般的と言われています。

肛門ポリープ

肛門縁から1~2センチくらい中へ入った内側に、肛門と直腸の境目があります。ここを「歯状線」と呼びます。この歯状線付近の移行上皮からできている肛門乳頭に発生する炎症性・線維性の肥厚、または硬いしこりのことを肛門ポリープと言います。

肛門ポリープは、繰り返す下痢・便秘、裂肛、痔核、痔瘻などによる歯状線付近の慢性的な刺激や炎症にあると言われています。ポリープは粟粒大から親指大まであり、団子状、きのこ状などのほかに、ひもが付いたように長く伸びてくるもの(有茎性ポリープ)もあります。

治療に関してですが、痔核や裂肛といった症状を同時に起こしていなければ、外来による切除も可能です。

肛門皮垂(スキンタグ)

肛門周囲にできた皮膚のたるみを肛門皮垂といいます。同症状の多くが外痔核や裂孔などで一時的に肛門部が腫れ、その後、腫れが萎縮した後に、しわとなって残ったものです。そのため症状がなければとくに治療は必要としません。

肛門周囲皮膚炎

肛門周りの皮膚の炎症により、痒みやべとつき、浸出液によって下着が汚れるなどの症状が見られます。原因としては、度重なる肛門洗浄、アレルギー性疾患、真菌症(カンジダなど)、肛門疾患(痔核、裂肛、ポリープ、肛門皮垂)などが挙げられます。

肛門を清潔にして、乾燥させた状態に努めるほか、ただれのような症状がある場合は、ストロイド系の外用薬を用います。